村田三樹二郎は昭和二年、大迫町、現在の花巻市の商家に生まれました。父、幸之助は花巻人形の収集家でした。
父親の影響は大きく、土人形やその他の人形たちが身近にある環境に育ちました。 また、当時の大迫は蚕を飼っている農家があちらこちらにあり、繭は身近なものでもありました。

 学生時代には、盛岡で京都出身の芸術家、中井汲泉先生の美術の講義を受けて、 個性を生かして自由に制作をする楽しさや身近にある素材で郷土玩具を創る素晴らしさを学びました。 先生のお宅で指導も受けていたようです。一斗缶で土人形を焼いたこともありました。

 その後昭和四十三年、盛岡に工房を作り、 身近な素材のクルミや繭で人形をデザインし、創作民芸品として売出しました。 店名に民芸と入っているのは、手仕事の素晴らしさ、 身近な素材で子や孫の成長を祈り作られた玩具たちの温かさを感じていただきたいという願いからです。

 三樹二郎は創作の傍ら全国の民芸品の収集にも力を注ぎました。
各地で作られ、商品として販売されてきた物ですが、作り手の思いや可愛らしさに惹かれたためです。
役目を終えた民芸品は消えていくものと思ったのでしょうが、今は、工房で存在感をみせています。